みなさんは「治験」という言葉を聞いたことがありますか?
ここに訪れたということは、ほとんどの人が知っている単語だと思います。
「治験」とは、未承認の”くすり”を厚生労働省から承認を得るためにする目的でおこなわれる治療の臨床試験の一種です。
その臨床試験に参加する人のことを「治験ボランティア」や「治験モニター」といい、協力金がもらえるので一部では「治験バイト」ともいわれています。
ご存じの方も意外と多く、「治験=報酬が高い」という認識をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
私は大学当時にネットで応募して「治験」を経験しました。
その時の体験談をお伝えして、興味がある人に治験をイメージしやすくしてもらいたくて記事を執筆したしだいです。
この記事でわかること
- 未承認の薬で副作用が怖くないのか?
- 入院中はどんな感じ?退屈なの?
- 治験で具体的にいくらもらえるの?
読み終わる頃には、治験についての正しい知識が身につき、興味はあるけど踏み出せないというあなたの手助けになると確信しています。
私が治験に参加しようとした理由は2つ
私は現在30代前半の男です。
治験に参加したのは大学4年生の22歳のときでした。
当時、治験に参加しようと思った大きな理由は2点あります。
- 大学の卒業旅行費用としてまとまった金額が欲しかった
- 大学卒業後に医薬品関係の会社への就職が決まっており業界の理解をより深めるため
1つ目はいかにも大学生の考えそうなことと言われてしまいそうですが、みなさんの興味もそちらにあるのではないでしょうか。
もう1つはマジメな理由ですね。
実際、入社後この薬が発売になった時に「なるほどあの時の薬がこういう経緯を経て世に出るのか」という理解につながりました。
(これは私だけかもしれませんが)
それと同時に、「社会の役に立ったなぁ」という実感もわきました。
それでは治験の内容に入っていきましょう。
まず内容説明のためオリエンテーションが実施される
インターネットで応募して、まず内容説明と身体検査のために病院に行きます。
この時が初通院でした。
内容理解し、了承すればその後にスクリーニング検査(身体検査)
スクリーニング検査の内容は、身長・体重・血液検査・
身体検査の結果を数日待ち、
交通費はその都度もらいました。
なお、
治験ボランティアの協力金はいくらもらえるの?
私の場合の全期間は、入院前・入院後の検査がそれぞれ1日ずつで入院期間が10泊11日というよくある治験のパターンでした。
結論からいうと、1度の治験の参加で現金26万円を協力金としていただいたのです。
日割りをすると1日2万円を超えることになります。
当時私は大学生であったため、ドーンと26万円という額を目の当たりにして、お金の使い道などいろいろな思を巡らせた記憶があります。
一般的な治験ボランティアとは
入院日数は薬によってさまざまであり、当時私が見ていたものでほかに30泊31日の募集なんてものもありました。
また、よく勘違いされるのですが、治験は厳密にはアルバイトではなくあくまでボランティアという扱いとなることが一般的です。
いただくお金も給料ではなく協力金や謝礼金という名目で支払われることになります。
謝礼金ですから、所得税や社会保険料の対象となりません。
ここが給与所得との大きな違いですね。
20万円を超える協力金を得た場合は雑所得として納税する必要がありますのでくれぐれもご注意ください。
また、1泊2日の治験もあるので会社員などでも有給を利用して治験に参加することは可能です。
治験とは未承認の薬を試すこと
これも非常に多く聞かれることですね。
そもそも人に投与される前にサルやラットでの安全性を確認されており、その上に治験が成り立っています。
私が経験した治験でも、もしもの時のために医師・看護師が24時間体制で待機していたので安心感がありました。
私の場合は採血回数が苦痛だった
余談ですが、副作用よりも採血のほうが身体的に負担が大きかったのを覚えています。
多い日は1日になんと17回という異次元の採血回数で腕が腫れてしまいました(涙)
参加した人も参加中は何事もなかったように思います。
また治験には第Ⅰ相~第Ⅲ相と段階があり私が参加したのは第Ⅰ相試験です。
対象が健康成人ということもあり第Ⅰ相が最も参加者が多い治験のようですね。
第Ⅰ相は安全性を確認するための治験です。
治験入院中1日のスケジュール
治験が終わってから友人などに、治験は「入院中退屈だったんじゃないの?」とよく聞かれました。
誰もが気になる治験入院中の生活についてお話いたします。
まずは入院中の1日のスケジュールをお伝えしましょう。
1日の流れはザックリこんな感じでした。
- 07:00~ 起床
- 07:30~ 朝食・服薬
- 08:00~ 身体検査・問診・採血
- 08:30~ 自由時間(定期的に採血)
- 12:00~ 昼食
- 12:30~ 自由時間(定期的に採血)
- 18:00~ 夕食
- 19:00~ 入浴
- 22:00~就寝
自由時間が多いが退屈にならないように工夫されていた
「自由時間が多く退屈するのでは?」と思う人も多いとかと思います。
結論から申し上げますと治験参加中、私は退屈しませんでした。
というのも入院中は退屈しないように、
- テレビ
- パソコン
- 漫画
- ボードゲーム
など幅広く用意がされていました。
中でも漫画に関しては、「漫画喫茶かな?」と見間違うほどのラインナップがそろえられており、私は入院中にジョジョの奇妙な冒険を1部~7部まで読破したほど。
ちなみに好きな部は7部のスティール・ボール・ランです。
治験参加者の顔ぶれはまざまな年代や職業
また、私の参加した治験は健康成人を対象としたものであったため、ほかの参加者もみんな同じく健康的な成人男性だけでした。
年齢層は私のような20代前半の学生や30代の司法試験の勉強をしている浪人生、40代前半のプロハスラーなどさまざまな年代・職業の人たちが参加していたのです。
同じ釜の飯は同年代も落ち着きますが、知らない世界の話を聞くだけでも面白かったのを覚えています。
病室の部屋割りは、豪華な個室が一人一人に!!
というわけには残念ながらいかず、病院の大部屋の中カーテン1枚で仕切られているという環境でしたので夜中にいびきが聞こえることもしばしばでした。
治験中の食事は美味しい?
あと気になるのが食事に関してですよね。
病院食や入院食って味気ないようなイメージを持たれがちですが、不味いと思うようなハズレも特になく美味しかったです。
もともと好き嫌いは少ないほうですが、実際は入院中1度も食事メニューが被ることはなく、栄養バランスの考えられたおいしい食事が提供されていました。
ただし、食事時間に関しては、毎回10分~15分の間で行うよう厳密に時間管理されていたので、楽しくおしゃべりしながらとはいかなかったです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は治験参加経験者である私から、よく聞かれる治験についての疑問にお答えしました。
お答えした内容は以下の通りです。
・協力金はいくらぐらいもらえるの?
・未承認の薬なんて副作用が怖いけど大丈夫なの?
・入院中退屈なんじゃないの?
治験は決して怪しいものでも人に話せないような後ろめたいものでもありません。
今進行中の新型コロナウイルスに関しても、コロナワクチンや飲み薬の治験が世界中はもとより日本でも各地でおこなわれています。
治験をクリアしなければ薬として社会にでることはない、社会に貢献できる立派なボランティアなのです。
少しでも興味のある方は是非インターネットで「治験 お住いの地域」と検索してみてください。
その行動のひとつひとつが医療の発展に必ず役立つはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。